機内より

離陸から約20分

雲海の上に顔を出した、ボーイング767機内の窓から

高度10000メートルを超える

“空間”に描かれた

雲海の造形を眺めつつ

しばし思考にふける。




機内誌を広げると

アジア建築の精神的指導者であるといわれる

ジェフリー・バワの特集があり

しばし読書に浸る。

「楽園はここから40マイルほどのところにある」


14世紀のイタリアの伝道師・マリニーニョが評した

美しきセイロン。

この故郷の島の最西部に

バワが最後に購入し、

50年間かけて造った庭園「ルヌガンヌ」があるという。

朝日が昇って西に沈むまで、

時間と空間の概念を超越した

ミスティックの漂う空間に

自身の魂をただ漂わせて

色を変える楽園を眺めてみたい…。

そんな妄想に旅していると

そのうちにヘッドセットからは

サキソフォンの“ハナミズキ”が流れてきて

心にしみわたるそのメロディが

窓枠に切り取られた青い風景と

あまりにぴったりとマッチしていて

心が震え

涙が出そうになりました。

知らずの間に積っている

ストレスを解放し

しばし目を閉じて

ボリュームをいっぱいに大きく上げて

シートの中に溶けていく…。

ナチュラルミスティックの漂う

だれも触れることのできない

10000メートルオーバーの窓外の世界にあこがれながら

いつか訪ねるバワのスピリチュアルな創造空間

アジアのリゾートにあこがれながら

出発前とは、もうすっかり“別の自分”を感じながら

もうすぐトーキョーに到着です。


平原まこと『ヴォカリーズ』
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